1998年に開催された長野オリンピック。
その選手村がどこにあったかを覚えている人はあまり多くないかと思います。
選手村が建設されたのは、長野市中心部の南西に位置する今井という地域。位置関係はこのような感じです(Googleマップより)。
現在は建物はそのままに市営住宅などに転用されているとのことで、現在の様子を見に行ってみることにしました。
どうしてもオリンピックと結びつかない、地味な今井駅
選手村建設に合わせて開業した今井駅へは、長野駅から信越線の普通列車で3駅。長野駅と篠ノ井駅の間はしなの鉄道(小諸・軽井沢方面)と信越・篠ノ井線(松本方面)の2線が乗り入れているため、基本的に1時間3本程度の停車があります。
2面2線のシンプルなホームで、背後(西側)には田んぼが広がります。真上を通る北陸新幹線が時々音を立てて通過していくことを除いて、とってものどかな駅です。
しかもこの今井駅、自動改札機はありません。
おそらく選手村があったと言っても選手は電車は使わなかったのだと思いますが、それにしてもずいぶんと地味な駅で驚きました。これまで今井駅の存在さえ知らなかったのも無理はありません。
ニュータウンのある駅の東側には ニュータウンの案内図があり、現在では市営団地と市の職員住宅として利用されていることがわかります。ちなみにこの周囲を見る限り、「長野オリンピックの選手村」と分かるものは何もありませんでした。
レセプションセンターがあったらしいが‥
今は駅前ロータリーを過ぎると住宅が広がるだけですが、現在でもインターネット上で見ることができる信濃毎日新聞の記事を見る限り、選手村の入り口には「レセプションセンター」なる施設があり、レストランや映画館、ディスコ(時代を感じる!)まであったのだとか。
レセプションセンターがあったと思われる場所はスポーツジムと医療系の大学、そしてその大学の付属病院になっていました。
スポーツジムからはエアロビクスの軽快な音楽が聞こえたものの、ここからも選手村の面影は感じられず。
市営団地へ潜入
今となっては普通の団地になってしまったのか?と思いながら、住宅街へと入っていきます。
今井ニュータウンの訪問記を色々と漁っていると、建物のデザイン性の高さを称賛する声が多く聞こえてきます。駅に近い市営団地はこんな感じ。
なかなか美しいですね~。とても築20年以上が経過しているとは思えません。
(住宅ですので関係者以外立ち入り禁止の箇所がいくつもあります。現地を見に行く際にはご注意を。というかここで写真撮って大丈夫だったのかな‥)
やっと往年の賑わいを感じてきましたが、それでもまだオリンピックの形跡を見ていませんね。
団地の中ほどまで来たところで、やっと見つけました。
‥え、地味!看板一本ですか!!
安心してください。
この背後に、「メモリアルスクエア」という場所があります。
路面にはオリンピックのマークと、オリンピック・パラリンピックのメダリストの名前が刻まれた石碑があります。やっと、やっとオリンピックの残り香を感じることができました。
市営住宅に転用されたこともあり、家賃の安さと長野市街へのアクセスの良さから、今でもそれなりに人気が高いという話も聞きます。訪問したのは平日の昼間でしたが、それなりに乗降はありましたね(その割には改札が小さいが)。
オリンピックの面影を過度に感じさせず、住宅地として独り立ちしている今井ニュータウンに、今後も注目です。
(訪問日:2020年9月8日(火))