今回もバス停探訪です。
第2回は、2020年10月に発表されたとある調査にて不名誉な認定をされたバス停をご紹介します。
長野県内243ヶ所の「危険なバス停」
2020年10月、国土交通省の調査にて3段階の「危険なバス停」が報告されました。その中でも特に危険度が高いとされた「(A)バスの車体が横断歩道にかかるか、停車したバスが原因で人身事故が発生」には、長野市内から2ヶ所のバス停が認定。
1つは長野市稲葉にある「日詰」バス停。そしてもう一つが、今回訪れた「広町」バス停です。
実際に行ってみた
広町バス停は、長野駅から北側の住宅地を結ぶ「浅川西条線」(長電バス)にある停留所です。長野吉田高校の裏手にあります。
61 浅川西条線 時刻表 | 時刻表 | 路線バス | 長電バス株式会社
広町バス停の何が危ないのでしょうか?
それは、「バス停に停車するとバスが横断歩道を塞ぐ」からです。
長野の話ではありませんが、バスに塞がれた横断歩道を避けて道路を横断しようとした小学生が、バスの死角から出てきた車に…という死亡事故があり、対策が急務とされています。
従来の広町バス停の位置です。
ここにバスが停車したら、どう考えても横断歩道を跨ぎますね。
ちなみに、停止線は完全にオーバーしています。
さらにこの写真の左手は道路なので、そもそも完全にT字路を塞いでいるのだから、困ったものです。
どうしてこうなったのか
広町バス停の抱える大きな問題として、
・歩道がない
・片側にしかバス停が設置できない
というところがあります。
バス停の裏側から見たアングルです。
道の反対側は道路、店舗、ガレージ付き民家と続くのでバス停の設置は困難。バス停の背後は現在空き地となっていますが、ここが民家とか商店だったのだとすれば、他の場所に設置、移動することは事実上不可能だったのでしょう。
「危険なバス停」について取り上げた記事でも指摘されていますが、バス停の設置後に住宅地が大幅に拡大し、対応が追い付かなかったパターンもあると言われています。
20m後退してみた
というところまでが「従来の」広町バス停についての検証でした。
「従来の」ということは、現在どうなったのか。
先ほどのアングルから写真をもう1枚。
もう一つバス停が設置されています。
こちらが、2021年1月26日(取材当日!!)に運用を開始した「新しい」広町バス停になります。
「旧」広町バス停の方にある張り紙によると、安全対策として20m移設されたそうです(個人的には20mも動いていない気がするけど…まあいいや)。
いや、20mで何が変わったんじゃ、とお思いでしょうが、印象としては結構変わります。
20m後退したことによって、乗降を行うバスが確実に停止線の後ろで止まります。そして交差点を跨ぐ状態も解消されます。
新しいバス停から停止線を見たアングルです。
ぶっちゃけ、歩道がクソ狭い(というか、無い)以上はある程度危険な状況が根本的に解消されたわけではないのですが、国交省の調査報告から3ヶ月で具体的な動きがあったという点から見れば、”たった20mの後退”にも意味があると思えるのです。
この付近を歩いてみると、バス停付近に限らず、
道路と住宅地と商業用地がぐちゃぐちゃになった結果、停止線が横断歩道からめちゃめちゃ遠い交差点があるなど、いびつな区画が所々に見られます。
道幅から見ても急に歩道を作るなども非現実的ですし、この手の安全対策はなかなか頭の痛い問題です。
日詰バス停も、そのうち取材しようと思います。
(取材日:2021年1月26日(火))