今年もこの季節がやってきました。天皇杯・全日本サッカー選手権大会。
昨年が節目の第100回でしたが、コロナの影響で大幅なレギュレーション変更に迫られました。具体的には、JクラブはJ1のシーズン1,2位、J2,J3の各1位のみの出場となりました。
ゆえに、個人的にはアマチュアの雄・Honda FCの優勝をガチで予想していたわけですが…(笑)
それはさておき、今年は101回目。2年ぶりに通常レギュレーションでの開催となります。
そんな2021年の天皇杯、記念すべきマッチナンバー1は長野県代表・AC長野パルセイロ(J3)-新潟県代表・新潟医療福祉大学FCの対戦。この勝者が、昨年J1リーグ・天皇杯の2冠を達成した"絶対王者”川崎フロンターレとの2回戦に進出するという注目の試合ということもあり、現地参戦してきました。
ちなみに、前回天皇杯の試合を現地観戦したのは2020年の元日、国立競技場での第99回大会決勝でした。まさかこの試合が、気兼ねなく試合観戦に行ける最後の試合になるとは、当時夢にも思いませんでした。
都道府県代表とJ3クラブ
「なぜJリーグのチームが県の代表に?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。例えば先述の川崎フロンターレは、神奈川県代表ではないですね。
それもそのはず。J1・J2クラブは自動的に天皇杯への出場権を与えられています。対してJ3クラブは、都道府県予選に回る必要があります。
パルセイロは通常、長野県予選の決勝からの出場となっています。ただし昨年は先述のレギュレーション変更によりパルセイロは長野県予選に不参加。数年ぶりのJクラブ不在の大会を、J3よりもさらに2カテゴリー下、北信越フットボールリーグ(HFL)所属のアルティスタ浅間が制しました。
昨年のJ3リーグ、パルセイロはあとわずかのところでJ2への昇格を逃したわけですが、もし仮にパルセイロがJ2に昇格していれば自動的に天皇杯の出場権が与えられていたわけです。今年は県予選の決勝で敗れたアルティスタの関係者の皆さんも、「パルセイロが昇格していたら…」と思っていたかもしれませんね。
一方で、現在J2所属の松本山雅が何かの間違いでJ3に降格したら(考えたくない)、長野県予選にJクラブが2チーム、という可能性も存在するのです。
▽▽過去の天皇杯予選観戦記はこちら▽▽
新潟県代表・新潟医療福祉大学FC
対する、新潟県代表の新潟医療福祉大学FC。なぜ大学なのにチーム名に「FC」が付くのでしょうか?
実は、「新潟医療福祉大学FC」と「新潟医療福祉大学サッカー部」は登録上別のチームとなっていて、しかも両チームは今年の天皇杯新潟県予選の決勝でなんと相対していたのです。なんじゃそりゃ…。
カラクリを説明すると、「~サッカー部」は北信越大学サッカーリーグ1部に、「~FC」は北信越フットボールリーグ(HFL)1部に、それぞれ参加しています。つまり今回天皇杯に出場した「~FC」はアルティスタ浅間と同一リーグ所属のチームなんですね。
ただしこういった事例は全国的に見ても決して珍しいことではなく、部員を多数抱える強豪大学が社会人リーグにチームを参加させるというのはよくあることです。
ちなみに、J3クラブもJFL加盟クラブもない新潟県は、新潟医療福祉大学の他にも新潟経営大学やJAPANサッカーカレッジなど大学・専門学校勢中心の大会構成になっているのも特徴です。
(ちなみにその2、チームの登録要件が云々という謎の理由で突如試合が延期となった山梨学院大学ペガサスも、ひょっとしてこの辺りの事情が絡んでるんでしょうかね。よく分かりませんが。)
川崎にフルボッコに…
勝てば今シーズン未だリーグ戦無敗のJ1王者・川崎フロンターレとの2回戦に駒を進める重要な試合ということもあり、パルセイロを応援する権堂の「なべ亭」さんの前にはこんなメッセージが。
この試合に勝つと
フロンターレにフルボッコにしてもらえます。
カテゴリー、現在のリーグ戦成績からすれば"フルボッコ"も致し方なし、といったところでしょうか。
何はともあれ、フロンターレとの試合に駒を進めてもらいたいところです。
リーグ戦との違い
今回は長野Uスタジアム(Uスタ)開催のパルセイロ戦ではありますが、天皇杯のためパルセイロのホームゲームではありません。
またJリーグの試合とは色々と運営方式が異なっていたので、その辺りをまとめてみました。
①紙のチケット
昨年の観戦記でも触れていますが、コロナ禍でのJリーグは、基本的にQRコード付きの電子チケットのみの取り扱いです。
ただし天皇杯の場合、チケット販売の管轄も異なるため、紙のチケットとなっていました(主にコンビニ発券) 。
紙のチケットでの入場に際しては、係員に手渡しではなく、観客自身がもぎったうえで、トレーに入れる(それを係員が受け取る)というスタイルでした。
②全席指定
今回の試合、サポーター席を含め、全て指定席(1席間隔)での販売でした。しかも全席同一料金。
それなら、と普段は行かないメインスタンドの指定席を買ったら、なんと前から3列目。ピッチがめちゃくちゃ近い!
相手が大学生の試合とはいえ、普段のリーグ戦の半値以下で観戦できるのは、ある意味天皇杯の醍醐味です。
③シャトルバス運行なし
これは車を持たないパルサポには一大事です(笑)
公共交通機関でUスタへ向かう場合、アルピコ交通バス松代方面の「水沢典厩寺」バス停から徒歩25分、またはJR篠ノ井駅から徒歩40分となります。どちらにしたって辛い。
徒歩ルートの解説記事はこちら↓
自分も車がないため、今回も水沢典厩寺バス停から歩きました。
④場内アナウンスは中立
長野開催ではありますがあくまでカップ戦の1試合。スタメン紹介は両チーム同じものを使用。ゴールシーンでも「ゴール!!」的なアナウンスは一切なしでした(ちょっと寂しかった)。
⑤来場者登録
チケットが紙となっているからでしょうか、入場に際して追加の来場者登録が必要でした。
主な内容は名前や連絡先等の個人情報、そして指定された座席番号の記入でした。Jリーグ公式戦では見られないですが(ですよね?実はまだ2021年のJを一度も現地観戦していなくて…)、方式としては昨年、野球のBCリーグで採用されていた事前登録と近いかもしれません。
大学生に苦戦
さて、前振りで3,000字近く書いてしまいましたが、少しは試合の振り返りをしましょう。
前半は新潟医療福祉大学FCの勢いに押され、チャンスらしいチャンスを作れず終了。
たまたま自分の席がパルセイロのベンチ横で、後半のアップを目の前で見ていたのですが、良さそうだなと思って見ていた金園選手が後半途中から投入されたあたりから攻撃の形ができ、後半28分に宮阪選手のゴールで先制。
この時点で自分としては、「金園選手の投入で流れが変わった」と試合を総括するつもりが…後半ATにまさかの失点。延長戦に入ります。
延長戦で2得点したパルセイロが最終的には勝ちましたが、終始新潟医療福祉大学FCのペースだったように思います。
よく学生・アマチュアチームがJクラブに勝つことを「ジャイアントキリング」と言いますが、正直大学生とJ3の戦力差はそれほどないように感じます。新潟医療福祉大学に関してはJ2のアルビレックス新潟と連携しているという点では実質的に下部組織のような一面もあり、そうした点を考えれば「大学生に苦戦した」という表現は、ちょっと違うのかもしれません。
何はともあれ、パルセイロとしては「内容が悪くても最終的に勝った」という点で、プロの力を見せられたのではないでしょうか。
天皇杯ならではの光景
試合終了後、両チームが相手のベンチに挨拶。
特に、パルセイロサポーターが新潟医療福祉大学FCの選手たちに拍手を送る場面は、やっぱり天皇杯だな、という感じがしてとても良い光景でした。
勝ち上がったパルセイロの次戦は6/9(水)の2回戦、相手は川崎フロンターレです。フルボッコにされるのか?はたまたジャイアントキリングを起こすのか?楽しみにしています。