※大事なことなので最初に言いますが、長野市~白馬村間の国道406号線は全体的に道幅が狭くカーブも多いため、非常に走りにくい道です。同区間を安全・快適に移動したい場合には県道31号線(オリンピック道路)の利用を強くおすすめします。
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国道406号線は長野県大町市から白馬村や長野市、菅平高原などを通って群馬県高崎市に至る道路です。その中でも長野市~白馬村の区間は鬼無里(きなさ)街道と呼ばれており、長野市中心部から白馬村へほぼ直線距離で結んでいます(ただし時間的には最短ルートではありません。これ大事。)。
そんな国道406号線を、善光寺付近から白馬駅周辺まで走ってみました。冬場は豪雪の区間ですので、夏のドライブにぜひ。
なお、YouTubeで検索するとこんな動画も出てきます。参考までに。
バスがこんなところ通るの?
国道406号線は、善光寺の入口(善光寺大門)を通過します。信大教育学部付近までの片側2車線から一転、西部中学校付近のヘアピンカーブに度肝を抜かれ、さっそくこの先の道のりが不安になりますが、こんなのは序の口です。
善光寺から1,2kmほど西に進むと早くも平野部の市街地を離れて、裾花川に沿って谷あいを進んでいきます。途中、裾花ダムなんかもあって、なかなか雄大な景色となります。
とはいえ…この先は多くの区間で道幅が狭く、明らかに2車線分の幅がない区間がかなりあります。ところどころバイパス的な道の建設が進んで幾分状況が良くなっているとはいえ、すれ違いも怪しいトンネルが多数あるため、ひやひやしながら走っていくことになります。
道中、道路脇で井戸端会議をするおばあちゃんやら、山道をフラッフラになりながら自転車で走るおじいちゃん(電動アシスト?そんなものはないよ)も現れますので、そちらにも十分注意です。わき見厳禁。
さらに驚くべきことに、この区間は路線バス(長野駅~旅の駅鬼無里)も通ります。以前鬼無里行きのバスに乗車したこともありましたが、狭い道を、時々後続車に追い越されながら走っていく様はなかなかすさまじいものがありました。
ちなみにネットで「国道406号線」と検索すると、長野県が公開しているこの地域のバイパス整備に関する資料が出てくるのですが、そのタイトルが
「もう酷道とは呼ばせない~国道406号の整備~」
とかいう自虐みたいなやつで思わず笑っちゃいます。
https://www.pref.nagano.lg.jp/gijukan/documents/12_naganoken.pdf
そんなこんなで、旅の駅鬼無里で一旦休憩です。ここの標高は680m。長野市街からすでに350mほど標高が上がっているイメージです。
ちなみに今回は格安レンタカーの「ガッツレンタカー」の軽自動車で参戦しました。走行距離はもうすぐ10万km。明らかに酷道を攻めさせる車じゃないので、良い子は真似しないでね。
向かいにはセニアカーがスペースを広々と使って駐車していて最高でした。
セニアカーも重要な交通手段ですよね…とか言って、GUNMA-17さんの魔改造セニアカーだったらいいなぁとかいう妄想もしちゃいました。
うっかり話が逸れました。先に進みましょう。
ぶっちゃけ鬼無里までは序章です。
山奥にある東京
鬼無里の中心部までは、狭いとは言ってもそれなりに普通の山道という感じです。
旅の駅鬼無里を過ぎるといよいよ本番です。ここから先は定期のバス路線もなくなり(奥裾花自然園方面の季節運行の路線がありますが)、時が止まったような景色が広がります。そしてこちら側から白馬方面へ向かう需要もほぼ皆無に等しいので、交通量もかなり減ります。
途中唯一と言ってもよい集落が、両京というエリア。めちゃくちゃ味のあるバス停があったのでパチリ。
名前はなんと「東京口」。こんな田舎に東京が!!
ちなみにこの東京は「とうきょう」ではなく「ひがしきょう」と読みます。鬼無里の地に伝わる「鬼女伝説」にまつわる地名なんだとか。
いまから千年以上前の平安時代、源経基(みなもとのつねもと)の寵愛を受けた紅葉という美しい女性が京の都から流され、この地にやってきました。紅葉は、東京(ひがしきょう)、西京(にしきょう)、二条、三条などの名をつけて都を偲び、人々に都の文化や読み書き、医術などを伝えて暮らしていました。
(中略)いまも鬼無里には、東京、西京など京にちなんだ地名や紅葉が暮らした内裏屋敷跡が残っています。
トンネルを抜けたらそこは…
両京を通過すると、いよいよ国道406号線のハイライト。周辺には建物はほぼなくなり、延々と続くカーブの連続を、対向車に怯えながら走ることになります。
この周辺の地図ですが、これはもう…線形でお察しくださいという感じですね。ちなみに今回は、まさかまさかのダンプカーが対向車でやってきて死ぬかと思いました(笑)
出発から1時間ほど経ちましたが、この時点でまだ住所の上では長野市です(旧鬼無里村が長野市に合併されているため)。この山越えの途中にある白沢峠を通過すると、いよいよ白馬村に入ります。
白沢峠を通過する「白沢洞門」を抜けると、そこは…
北アルプスだぁ~~~
そうです。なぜこんな酷道を走ってきたのかというと、この白沢洞門からの景色を見るためだったのです。
天気予報を見て、晴れの午前中を狙ってのこの景色。
虫の声が四方八方から響き渡る光景は、とても荘厳でした…。
白沢洞門
— むーさん/スーさん@まち歩きライター (@musan_tr_gh) 2021年6月5日
虫やカエルの鳴き声が映画館のサウンドみたいに響いて、ものすごい光景だ。。 pic.twitter.com/nXXB2NXLqA
白沢洞門を越えたら、あとは白馬村の中心部に向けて下り坂です。
こちら側からはロードバイクの方々がたくさん登ってきます。いやぁ、すごい体力だ。。でも、確かに白沢洞門からの眺めのために登る気持ち、とても分かります。
白馬はスキーのイメージがあると思いますが、グリーンシーズンの白馬も景色が良くて気持ちが良いです。クネクネ山道を走り切る覚悟がある方はぜひ国道406号経由で。そうでない方はオリンピック道路経由でね。
(訪問日:2021年6月5日(土))