日本で一番短い名前の都市はどこ?と聞かれたとき、多くの方は三重県の県庁所在地・津市を思い浮かべると思います。確かに、津はひらがな表記にすれば「つ」の1文字。紛れもなく最短です。
しかし、よく考えてみてください。「つ」をローマ字表記にすると「Tsu」で3文字。日本語では2文字表記である粟生(あお/Ao/兵庫県小野市)、頴娃(えい/Ei/鹿児島県南九州市)などの方がローマ字表記としては短くなります。
つまり、正真正銘の最短地名を探すなら母音単体のあ/い/う/え/おのいずれかを探さなければならないことになりますが…そんな場所はあるのでしょうか。
あります。「え」です。
そのバス停があるのが、茨城県下妻市。同市の関東鉄道常総線・下妻駅と、筑西市のJR水戸線・川島駅を結ぶ広域連携バスの線内に、「江」バス停はあります。読み方は「え」。つまりローマ字表記も「E」で1文字。正真正銘、日本一短いバス停となります。
実際に足を運んでみましょう。
常総線は、東京近郊の路線としては珍しい非電化で、特に本数の減る水海道駅以北はかなりローカルな雰囲気が漂います。平日の日中に立ち寄ったため、下妻駅を発着する列車は1両編成。
下妻駅の前には、関鉄パープルバスの営業所があります。
ここから川島駅行きのバスが1日6往復走っており、江バス停へと向かうことができます。下妻駅から江バス停へは約20分。運賃は全区間均一の200円です。
ということで、江バス停へやってきました。
うーん、なんと美しい。キレイに1文字で収まっております。なお、上にいるキャラクターたちは、筑西市のマスコットキャラクター「ちっくん」と、下妻市のイメージキャラクター「シモンちゃん」だそうです。関鉄パープルバスなのに、バス停が緑色なのも面白いです。余談ですが、関東鉄道には関鉄グリーンバスという系列会社もあります。
最初にGoogleマップで示した通り、江というのは地区名です。往々にして川が近くに流れている地名ですね。近くには鬼怒川が流れています。なので、バス停のすぐ脇には「え歯科医院」という歯医者さんもあります。「江」と漢字表記すると「え、って読むのかな、どうなのかな…」という不安がある、かどうかは知りませんが、ここからもこの土地が「え」と読むことがよくわかります。
ちなみにこの情報を知って「Googleマップのストリートビューで探してみよう」という方、注意してください。江バス停のある筑西・下妻広域連携バスの運行開始は2020年10月。一方で江バス停のある場所のストリートビューのデータは2020年8月となっており(2022年8月閲覧時点)、地図上ではバス停の存在を確認できません。ぜひ、実際にバスに乗車して確かめてみてくださいね。
(訪問日:2022年8月23日(火))
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