今回はまち歩きというよりも、地図を見る、あるいは地域について考えるときに持っていたらいいな、という視点を共有したいと思います。
はじめに
最初にこの記事を書くことを考えた経緯からお伝えします。
ご存知の通り、2024年は能登半島の地震というニュースからスタートしました。
現地の被災状況もさることながら、自分が気がかりなのは、観光等の自粛が北陸地方全体へと波及していること。大きな被害のなかった福井県や新潟県にまで宿泊のキャンセルが及び、大きな経済的損失が発生していることが、現地の宿泊業や観光業に携わる知人のSNSなどを見て感じるところです。
こうした自粛が起こるマインドには様々な要因はあると思いますが、地理好きの自分としては
「北陸」「石川」「能登」という地名の規模感や距離感を想像できていない
ことが一因としてあると考えました。そこで今回は石川県内の地域区分、あるいは石川県の細長さという地理条件などにフォーカスして、都道府県というものをもう少しミクロな目線で見てみない?という文章をまとめてみます。よろしくお願いします。
石川県の端から端の距離は…?
石川県は細長いです。端から端まで行ったらどれくらいの距離かイメージできるでしょうか。石川県のホームページには以下のような記述があります。
地形は、南西から北東に向かって細長く、東西100.9km南北198.4km
南北約200kmだそうです。めっちゃ長いやん。
200kmという距離がイメージしやすい画像がちょうど長野市のwebサイトにありましたので、拝借します。長野市も東京から200km圏です。この円の半径に石川県がすっぽり入るわけです。
今回の地震でいえば、被害の大きい珠洲市や輪島市は石川県の北東の端。その対極の端に位置する加賀市などは同じ県内といえど200kmほど離れているということになります。
ちなみに県庁所在地である金沢市はその中間あたり。能登半島の先端からは120kmほど離れているのだそうです。自分もかつて輪島~金沢間の高速バスに乗ったことがありますが、高速道路を使っても2時間ほどかかったことに驚いた記憶があります。そのくらい両地域は離れています。
この距離の受け止め方は人それぞれだとは思いますが、南北に細長い石川県については特に、ぜひそのイメージを持っていてほしいと思います。
”能登”と”加賀”、イメージできてる?
滋賀県のほとんどが琵琶湖であると思っている人がいるのと同じように(実際は1/6くらいらしいですね)、「石川県=能登半島」というイメージをお持ちの方もいるかもしれません。ここで今一度石川県の地図を見てみましょう。
この画像は気象庁における石川県の地域区分を示したものだそうですが、大きく「能登」と「加賀」に分かれているのが分かりますね。そう、石川県のうち能登半島が占める部分って北半分くらいなんですよね。
珠洲市はどこにありますか?
金沢市はどこにありますか?
金沢よりもさらに南に石川県の市があることを分かっていますか?
そこをぜひ、イメージしてくださいね。Instagramでこんな投稿もありましたので、参考にしてください。
「地域区分」という視点を持ってほしい
今回は時期が時期ゆえに石川県を例に取り上げてみましたが、この地域区分というものは各都道府県にあるはずです。その都道府県に住む人は大体はテレビのローカル局の天気予報などで日常的に触れるものですが、県外の人間は案外知らないものです。
例えば私の生まれた福島県には、「浜通り」「中通り」「会津」という地域区分があります。福島県にゆかりのある人は普通に使うワードですが、知っていましたか?
2011年3月の東日本大震災では、浜通りを中心に大きな被害がありました。一方で、会津地方などの内陸部は直接の被害は決して大きくはなかったものの、「福島県」とひとくくりにされたことによってイベントの中止や農作物への風評被害に苦しめることとなりました。
当時高校3年生だった自分も、高校の写真部で出展が決まっていた全国高校総合文化祭への派遣を、開催地が福島県という理由で(会津若松市なのに、大会自体は開催なのに)校長判断で中止されそうになったことがありました。福島県生まれとしてどうしてもそれが許せなくて、抗議して決定をひっくり返させたのは今となっては良い思い出です。
* * *
みんなが地理オタクになる必要など、もちろんありません。
でも、「ニュースで見るあの場所が日本地図のどこら辺か」「大切な人の住むあの場所はそこからどのくらいの距離感か」という感覚くらいはみんなに持ってほしい。
それが自分の願いです。
金沢に行ってきたよ (2024/1/13)
最後に、日帰りですが金沢を観光してきた様子をお届けします。
金沢を訪れたのは2024年1月13日。地震後2度目の土曜日です。
土曜日のお昼でしたが、ちょうど雪が本降りとなってきたタイミングということもあり、ひがし茶屋街もご覧のような状況でした。うーん、しかも日本人がいない。元からそうかもしれませんが、こういう状況で観光から引いてしまうのは日本人の方が傾向が強いのかもしれません。
でも!裏を返せばゆっくり観光するチャンスです。日本酒の試飲も、近江町市場の海鮮丼も、今なら余裕を持ってお店に入れます。久しぶりに金沢を観光して気づきましたが、おそらく観光地の食事なども東京や京都と比べればリーズナブルだと思います。
皆さんも地理感覚をしっかり持って、金沢や加賀地域にはぜひお金を落としに行きましょうね。