長野電鉄って、思いのほか色々な種類のフリーきっぷがあるんですよね。過去にも「長電フリー乗車券」を取り上げたりしました。
今回はそんな長電の乗車券シリーズでも比較的地味な存在である、日帰り「楓の湯」クーポン(以下、楓の湯クーポン)なるものを使ってみたので、紹介してみたいと思います。
日帰り温泉と往復列車のセット券
楓の湯クーポンは、山ノ内町の湯田中駅前にある日帰り温泉「楓の湯」の入浴券と、発着駅~湯田中駅間の長野電鉄の乗車券(特急自由席料金含む)がセットになったきっぷです。
発着駅によって3段階の価格設定がありますが、例えば長野駅から利用する際には2,070円です。それぞれの通常価格を列挙すると、
・長野~湯田中乗車券 1,130円×2=2,260円
・自由席特急料金 100円×2=200円
・楓の湯入浴券 300円
で、合計2,760円となり、700円近くお得になります。というか、往復乗車券より安い。
冷静に考えてすごい切符ですね。ただし、商品名にある通り日帰りというのが条件です。鉄道利用も楓の湯への入浴も、すべて切符の購入当日でなければなりません。
※一応、切符そのものは前売り購入もできるみたいです。
販売は窓口のみ。知らないと買えない
それでは早速購入していきましょう。
いきなり注意点ですが、自分が見た限り、楓の湯クーポンは駅での案内は一切なかったように見受けられます。先述の長電フリー乗車券とは異なり、張り紙なども見当たりませんでした。そういう前提で考えてください。
今回は長野駅で買います。自動券売機では買えませんので、向かって右側の窓口で買います。
少し並びましたが無事に購入できました。長電お得意の(?)アナログスタイル。その場で駅員さんがスタンプを押してくれます。
なお、こちらの窓口ですが、地獄谷野猿公苑(スノーモンキーパーク)へ向かう外国人観光客が並んで時間がかかったり、列車到着のタイミングなどは駅員さんが改札業務に出て窓口に不在となることがあります。購入は時間にゆとりを持って行いましょう。
特急は外国人観光客で大混雑!
特急「ゆけむり」号に乗車していきます。
土曜日の14時台の特急列車。外国人観光客に人気のスノーモンキーパークへ向かう方々は朝に出るはずで少し混雑は緩和されるのかと予想していたら見事に外れ…
自由席に立ち客が発生するほどの大混雑。まあ12月23日ということで「今日からクリスマス休暇!」という方々も多いのでしょう。車内の荷物置き場もいっぱいになってしまい、大きなスーツケースを持った方々が座席を探してウロウロ…
2020年には特急列車に乗っても1両に数人みたいな状況でしたので、本当に状況は変わりました。すごい。
この日は未明に雪が降り、降雪の比較的少ない長野市中心部でも薄っすら積雪がありました。湯田中が近づいていくにつれて雪の量も増えていき、皆さん興味津々です。
長野駅から45分ほどで湯田中駅に到着です。秋の栗シーズンなどは小布施駅で多くの人が降りた印象でしたが、今回は冬ということもあり湯田中まで満席状態でした。
時刻は15時過ぎ。チェックインの始まる宿も多い時間帯ということで、列車を降りた大半の人々はそのまま旅館の送迎車へと吸い込まれていきます。
内湯は熱め、外湯はぬるめの楓の湯
いよいよ楓の湯に入っていきます。
楓の湯は湯田中駅の目の前、というか駅構内みたいなものです。有料の温泉施設のほか、無料で入れる足湯も併設されており、そちらも賑わっていました。
先述の通り入浴料は大人300円。価格から想像つくとは思いますが、規模はそれほど大きくはありません。内湯が1つと露天風呂が1つ。洗い場のシャワーは確か5個くらいだったので、全て埋まるタイミングも結構ありました。スーパー銭湯のイメージで行くとちょっと違うのでご注意を。
とはいえ300円で温泉に入れるわけですから、十分満足です。
で、どれくらい駅に近いのかというと、
こんな距離感です。もう駅の中だね。
土曜日ということで多少混み合っていましたが、特急列車の混み具合と比べればそれほどでもありませんでした。
夜の長野行きは空いてる
すっかり日が暮れましたが、帰ります。
行きとは打って変わってガラガラ。最初から最後まで展望席を独り占め状態でした。
午後だけの日帰りとはいえ、ちょっとした旅行みたいで良かったです。
ズルはだめよ
さて、序盤の楓の湯クーポンの概要説明でこんなことを思った方がいるかもしれません。
「往復運賃より安いなら、楓の湯に入らずに使っても…」
ダメです。
クーポンの券面にもありますが、復路の利用条件は「楓の湯の入浴証明があること」です。楓の湯入場時に押されるスタンプで判断されます。ズルはだめよ。
地味ゆえに成り立つのかも
以上、楓の湯クーポンのご紹介でした。
実際のところ、「それほど大きくない温泉施設に電車に乗って日帰りする」という需要がどれほどあるのかは謎なので、周知が大してなされていないのもまあ現実的なんだと思います。
少なくとも観光客が使うとも思えませんし(というか湯田中温泉なり渋温泉なりに泊まってほしいでしょ)、クーポン券面をよく見ると「5枚集めると粗品プレゼント」の旨があるあたり、明らかに普段使いの地元住民向けですね。長野駅で案内がなかったことも納得です。
そんなに高頻度で使うかは別として、ちょっと普段と違うお風呂に入って気分転換したい、なんて時にはもってこいの切符です。ぜひ使ってみてください。
▽▽長野電鉄関係の過去記事▽▽