4/16(木)の夜、緊急事態宣言の全国拡大の裏でもう一つ、(一部の人にとっては)衝撃的なニュースが流れました。
簡単に言うと「明日の朝を最後に路線を廃止します」というもの。
今回廃止となるのはJR札沼線の末端区間。もともとここ数年は1日1往復のみの運行が続いており、朝10時が終電という信じられないような区間でした。
当初はゴールデンウィークをもっての廃止の予定となっていました。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、乗客の殺到を防ぐ狙いからGW前の4/24(金)での定期運行終了が、前日の4/15(水)にアナウンスされたばかりでした。
残念ではありますが、妥当な判断だったと思いますね。
4/1より既に代替バスも運行を開始しているとのことで、皮肉にもこの廃止に伴う地域住民へのマイナスがほぼないということもこの決断に踏み切れた要因でしょう。
つまり4/1以降の運行は実質的には”ファンサービス”の域を出ていないというところも含めて、北海道の鉄道事情の厳しさを物語るようなニュースとなりました。
さてそんな札沼線ですが、せっかくなのでここからは私が訪問した際のことを書いてみようと思います。当ブログでは初めての過去旅振り返り企画ですので、記憶が曖昧なところがあったらすみません。
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私が新十津川駅を訪れたのは2015年9月15日のこと。
2泊5日(誤記じゃないよ。本当に2泊。)北海道旅行の3日目で訪問しました。
まずはこの日のルートを振り返ります。
- 急行はまなす 函館⇒札幌
- 札沼線 札幌⇒石狩当別⇒新十津川
- 路線バス 新十津川⇒滝川
- 特急オホーツク 滝川⇒深川
- 留萌本線 深川⇔増毛
- 特急スーパーカムイ 深川⇒札幌
たった4年半前の話ですが、すでに急行はまなすと留萌本線の一部区間は廃止となりました。色々な意味で、よくこれを一日でおさめたと思いますよ、我ながら。
というわけで早朝の札幌駅から振り返りスタートです。
ほとんどトランス状態で札幌に降り立つ
急行はまなすは普通車でした。(カーペットカーは取れず)
普通の座席よりもかなりリクライニングができて快適ではありましたが、前夜も夜行バスで東京⇒青森を移動していたので、この時点ですでに50時間近く横になっていないことに。
実質2徹の状況でしたのでこの時点でかなりヤバくなっていました。
当たり前ですが全身が痛い。
そしてスマホを充電するタイミングを逸したことでバッテリーもピンチ(その後、音信不通の状態で札沼線・留萌本線を旅することになりました)。
さらに北海道の秋をナメていたせいで軽装だったから寒い(深夜の函館駅で凍えていたところを見かねた駅員さんに「札幌着いたら上着買うんだよ」と言われました。優しい)。
とはいえこの先も詰め詰めの予定。どこか一か所でもズレればミッション達成は不可。しかも宿は札幌なので夜には帰ってくる必要があります。早速札沼線へ乗り込みます。
札沼線は二重人格
この札沼線、他には類を見ない”二重人格”の路線です。
まず札幌から乗車したのがこちら。
途中の石狩当別までは6両編成の電車。これから秘境のローカル線に入っていくとは想像できません。
まだ朝7時頃でしたが、すでに2晩寝ていない体は限界にきており、(このあとのメインに備えていたこともあり)ほとんど記憶がありません。
石狩当別で途中下車。
なかなか大きな駅じゃないですか。
9月とはいえ肌寒い北海道の朝の空気で目が醒めました。
深夜の函館からほとんど寝ずに移動していたので感覚が狂っていましたが、まだ朝の7時半。通学の高校生たちとともに新十津川行きへ乗り込みます。
ここからは1両編成の気動車。いよいよ北海道が本気出してきます。
最初こそ高校生でいっぱいで座れないほどでしたが、途中からはガラガラ。見た感じ地元の人はおらず、鉄道ファンが3人ほど乗っている程度でした。まだ末端区間でも1日3往復、そろそろ危ないとは言われながらも具体的な廃線計画がなかった頃なので。
末端区間の味わい
非電化区間に入った札沼線は一気にローカル色を強めていきます。
まさに、原野をまっすぐに走っていく感じ。ローカル線は数あれど、北海道以外ではなかなか見られるものではないです。
列車の最後尾から見る景色が新鮮で、夢中で撮り続けました。
この板切れみたいな駅、どこだ…。自分で撮ったのに記憶がないです。笑
それより気になったのが車内の路線図。
函館本線の小樽-長万部間で運行されていたのか?
今走っている区間の駅が一つも書いていないというのはなかなか新鮮です。というか、そんなのアリ?
対向列車との交換で石狩月形でちょっと降ります。
木の電柱。良い。
色々なところがアナログです。
ここからまた、北上していきます。
新十津川駅で子供たちに迎えられる
函館から乗り継ぐこと8時間。ついに新十津川駅に到着しました。
10分ほどの停車で折り返していきます。
自分はここからバスで滝川駅へ移動するので、折り返し列車を見送ることにしました。
天気が良かったこともあり、近所の保育園の子供たちがお散歩に来ていました。
この園児たち、なんと毎日札沼線の列車をお見送りしているそうです。
駅に掲示されていた新聞記事。
この日もみんな法被姿での登場です。
平日ということもあり、折り返しの列車の乗客は3人ほど。それでも健気に手を振る子供たちの姿に、胸が熱くなりました。
晩年は公共交通機関としての役割はほとんど失い、特に1日1往復となってからは実質的にはマニアの折り返し需要のみだったのだと思います。
それでも、この新十津川駅が全国から旅人が集まる場だったのは事実。
まさかの幕切れ。
もうこの駅に列車が来ることはありませんが、この時代まで細々と走り続けた不思議な路線を、忘れることはないでしょう。