長野市と新潟市、両県の県庁所在地同士ですが、その行き来は意外と不便です。それが青春18きっぷで、となるとさらに不便となります。それがさらに、飯山線が不通となったら…そんなとある一日の旅行記です。
- 長野市から新潟市の移動手段
- 18きっぷと相性の悪い長野市
- おいこっとに、乗れない…!
- 飯山線経由の次に“安い”ルートは大糸線回り
- 大糸北線は、もはや「見世物」に
- その5分、なんとかならない?
- 松本・糸魚川回りで11時間半
- 〈予告〉10月11月は飯山線の全面運休あり注意!
長野市から新潟市の移動手段
まずは、両市を行き来するにあたっての基本的な移動手段をご紹介。
①高速バス(長野電鉄・新潟交通)
高速バス 長野 - 新潟 時刻表 | 長電バス株式会社
現状、両市を直接結ぶ唯一の公共交通機関となっています。しかし、現状は朝夕に各1往復が設定されているのみ。
②新幹線
直接行くことはできないので、北陸新幹線で上越妙高駅へ行って特急しらゆき号に乗り換えます。
接続が良ければ高速バスよりもやや速いですが、こちらも上越妙高からの特急が1日4本程度しかなく、あまり便利とは言えません。逆に東京方面へ向かって高崎駅で上越新幹線に乗り換えるというルートもあるにはありますが、費用面であまり現実的ではないところです。
そういえば、2年半前ですがこんな動画もありましたね。
公共交通機関で移動する際は基本的にこの2つのどちらかだと思います。昔は国鉄の特急列車なんかがたくさん走ってたと思いますが、高速バスの本数なんかを見ても需要はそれほど大きくないのだと思います。おそらく、車での移動の方が多数派でしょう。
18きっぷと相性の悪い長野市
それを踏まえて、じゃあ青春18きっぷを使う場合のルートは?となりますが、こちらは実質、飯山線経由の1択となります。
これには、北陸新幹線の存在が大きく関係しています。1997年に長野駅まで開業した際に信越本線の横川〜軽井沢間が廃止、軽井沢〜篠ノ井間がしなの鉄道に転換されたことによって群馬方面へのルートが消滅。さらに2015年に北陸新幹線の延伸によって長野以北の区間も第三セクターに転換されたことにより新潟方面のルートも消滅し、18きっぷだけで長野〜新潟間を移動することは不可能になりました(東京を経由するなら別ですが)。
飯山線経由のルートについては、長野〜豊野間(260円)の別料金を払えば、現在でも18きっぷでの移動が可能です。
おいこっとに、乗れない…!
ここからは、当日の様子です。まずは、当日使う予定だったルートをご紹介。
天気は晴れということもあり、運休やダイヤ乱れといったものの可能性はないだろうと余裕こいて長野駅へと向かったところ、飯山線運休のアナウンス。ということで予定していた「おいこっと」に乗れないだけではなく、飯山線以外で新潟へ向かう必要が生じました。
飯山線が昨日の雨で運休していて、今日のおいこっとは運休に…
— musan|まち歩きライター (@musan_tr_gh) 2022年9月4日
飯山線が止まるだけで青春18きっぷで新潟方面に抜けるルートがなくなるの、長野と18きっぷの相性の悪さと脆弱さを感じざるを得ない… pic.twitter.com/6YF1cW4PCM
普通ならばもう18きっぷ利用をやめてしまえばいいのですが、今回は18きっぷを使い切るための旅。利用期間が1週間を切っており、さすがに18きっぷを使いたいと思ったので、その場で思いついたルートをあたってみました。
①しなの鉄道&えちごトキめき鉄道で直江津へ、そこからJR利用
②しなの鉄道&バスで横川へ、そこからJR利用
③一旦松本に下って大糸線回り
①はかつての信越本線を進むオーソドックスなルートですが、直江津までJRが使えないので、料金的に18きっぷを利用する価値が全くなくなるのが大きな欠点です。
②は一瞬思い浮かんだのですが、①よりも別料金が高くなるうえに、群馬・新潟県境区間の本数が非常に短く到着がかなり遅くなりそうなので却下。
③も一部区間でえちごトキめき鉄道を使う必要がありますが、唯一別料金を3桁で抑えられるルートとなります。ただし超遠回りなので異常に時間がかかります。
結果、自分は③を選びました。
飯山線経由の次に“安い”ルートは大糸線回り
③ルートでの移動はこんな感じ。
大糸線に乗るために松本に行く異様なルートですが、おいこっとルートが乗車券260円+指定券530円=合計790円の追加に対してこちらは900円追加と、費用面では大差ありません。ただし、所要時間は衝撃の+6時間。移動だけで一日が終わる究極の道楽です。
大糸北線は、もはや「見世物」に
松本で大糸線に乗り換えて、まずは南小谷まで向かいます。長野と白馬・小谷方面は直線距離では近いのに、大きな迂回でここまでで4時間が経過。しかも南小谷では乗り継ぎが悪くまさかの1時間半待ち。JR東日本/西日本の境界とはいえ、もうちょっと融通は効かないのでしょうか。。
南小谷から北の大糸線を大糸北線とも言いますが、ここが廃線の危機にあることは、鉄道ファンの間では有名な話。18きっぷ期間の日曜日とあってか、1両の気動車いっぱいに乗った乗客のほとんどが鉄道ファンと思しき人たち。そうでない乗客も登山客らしく、地元の方の利用はほとんど見られませんでした。
終点の糸魚川以外ではほぼ乗降がなく、写真撮影で一部の乗客が動き回る車内はもはや観光列車。仮に地元住民の需要があったとしても、ちょっと乗りにくいかもしれません。
中国地方の芸備線などにも言えることですが、この区間は公共交通の役割を終えて、「見世物」になりつつあります。興味本位で大糸線に乗りにきた自分もこれに“加担”しているかも、となんとも言えない気持ちになりました。
その5分、なんとかならない?
大糸線を乗り通して糸魚川に到着した頃には、すでに出発から6時間が経過。
北陸本線がJRではなくなった今、糸魚川は18きっぷ的に非常に不便になりました。18きっぷで乗車可能な路線は大糸線だけです。ここは別料金でえちごトキめき鉄道に乗ってでも、さっさと直江津に出るのが得策です。それにしても、かつて特急列車が爆速で駆け抜けた幹線に1両編成の気動車。寂しいですねえ。
45分ほどで直江津に到着。直江津まで出たらあとは信越本線でまっすぐ新潟駅まで…という考え方が甘かった。直江津駅の時刻表を見てみます。
直江津到着が16:30、次の長岡方面は17:41か。1時間待ちね。それは慣れたよ。…ん?1本前が16:25に出てる??なんで???その5分どうにかならなかった????僕の脳内のサカナクションが「どうしてーーーーえーーーー」って叫びました。
さらに調べると、2時間後に出る快速がかなり瞬足で、1時間後の普通と新潟駅到着が15分しか変わらないようです。それならばと、直江津駅近くにある世界最大級の無印良品を見てきました。
外見はごく普通のイトーヨーカドー跡地って感じですが、フリースペースが広くてなかなか良い空間です。
無印でゆっくりして帰ってきたら、もう日が暮れているではありませんか。
長野駅を朝9時半に出たはずなのに、直江津を出る頃にはもう日が暮れました。松本と糸魚川を経由したから… pic.twitter.com/GQCnz2g5nr
— musan|まち歩きライター (@musan_tr_gh) 2022年9月4日
長野駅を出て9時間。まっすぐきたら2時間もかからない距離しか進んでいません。まだ新潟までの直線距離の半分も行っていない。とはいえあとはめっちゃ速い快速列車でらくらく移動です。
松本・糸魚川回りで11時間半
今までのチンタラ具合が嘘のように、この快速はめちゃくちゃ飛ばします。直江津〜新潟の130km強を2時間10分ほどで走破します。同区間を走る特急しらゆき号にも引けを取らない停車駅の少なさです。
そして20時55分、やっと新潟駅に到着。
新潟駅は4年ぶりの訪問でしたが、ずいぶんと様子が変わりましたね…。そして現在も大工事中ということもあり、まるで迷宮。まもなく南口側の駅ビルも営業を終了するようなので、せっかくですし現在の新潟駅の様子を記録しておきました。
来年再来年にはガラッと変わっているであろう新潟駅の様子を、記録しておきます pic.twitter.com/HyiMeUhDiF
— musan|まち歩きライター (@musan_tr_gh) 2022年9月6日
〈予告〉10月11月は飯山線の全面運休あり注意!
さて、今回は前日の大雨による運休でしたが、実はこの秋に飯山線の一部区間で長期間の運休が予定されています。JR東日本からのリリースはこちら。
期間は2022年10月1日(土)~11月20日㈰の51日間。期間中は、本来長野~越後川口間を乗り通せる列車が代行バスとの接続を行わない場合があるなど、色々と面倒なことが起きそうです。青春18きっぷの利用期間とは重ならないものの、効力の近い「鉄道開業150年記念 秋の乗り放題パス」で飯山線方面を利用しようという方はご注意ください。