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よく通るけどあまり降りないあの駅② 篠ノ井線・冠着駅

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現地に住んでいる方から怒られそうなタイトルですが、特急列車がたくさん通ったり、そうでなくても普段使う路線上にありながら降りたことがない駅ってありますよね。そんな駅を実際にいくつか訪問してみたので、どんな駅かを紹介してみたいと思います。

今回取り上げるのは、JR篠ノ井線の冠着駅。これで「かむりき」と読みます。なかなかの難読地名ですね。個人的には「冠」が付く地名を見ると北海道によくある「〇〇かっぷ」という地名が頭をよぎります。

冠着駅は長野県の二大都市である長野市と松本市の中間地点にあり、両市を行き来するなかで通ったことはあるという人は多いと思います。しかし、実際に降りたことがあるかというと…
ということで、今回は冠着駅周辺を散策します。

 

姨捨駅の隣

冠着駅の位置関係ですが、スイッチバックやホームからの景色で有名な姨捨駅の隣、というとイメージしやすいかと思います。とはいえ、姨捨駅はトンネルを挟んだ6km先。両駅間で周辺の景色は大きく変わります。

篠ノ井線のうち冠着駅~明科駅の間は山の間を抜ける区間となっており、トンネルの数も多くなっています。この区間は人口も比較的少なく、かつ線形の都合上集落からやや外れた地域を通る場合もあることから、冠着駅についても駅前には建物らしい建物はほぼありません。

冠着駅舎

そうした理由もあってか、冠着駅の1日あたりの乗車人数は70人程度となっています。

ちなみに、冠着駅の所在地は筑北村。冠着駅から松本駅方面に向かう場合には、隣の聖高原駅は麻績村ですが、その次の坂北駅は再び筑北村になります。冠着駅のある旧坂井村は筑北村の他の地区と道路や線路で直接行き来できないみたいですね。合併に際して色々あったみたいです。

冠着駅の所在地は筑北村

長野市内は雪がなくても…

冠着駅を訪れたのは2023年1月の前半。主に新潟などでの記録的な大雪が報じられる今冬ですが、長野市周辺は雪がほぼ積もっていない状況でした。しかしそんなタイミングでも冠着駅には積雪が。

冠着駅の標高は676m。長野市中心部(標高300m強)よりも約350m高いことに加えて、山の谷間で日光が当たりにくいことも理由の一つと思われます。

ホーム上の雪は凍っている

先述の通り1日の乗車人数が100人にも満たない駅ですので、ホームの除雪も最小限。日中時間帯の普通列車はワンマン運転されますので、ワンマン列車の乗車口は除雪され、なんとか見えるようにはなっています。

ワンマン乗車口は辛うじて見える

おそらく冠着駅の利用者は大半が車で駅へ向かうのでしょう。駅前の道には足跡は1人分しか確認できませんでした。さすがに獣の足跡はなかったのでそれは一安心。

新雪も残る駅前

集落はやや離れているので、訪問時間の都合上(というか寒いから)、駅周辺の散策のみに留めました。

冠着駅から聖高原駅寄りは大きなカーブとなっており、きっと列車の撮影に訪れる人も多いのでしょうね。山あいにある分日照の難しさはありますが、条件が合えばきれいなアングルで列車を撮ることができそうです。

 

村が受託する簡易委託駅

さて、ここまで「冠着駅は村の中心から外れた場所にある、乗車人員100人/日未満の駅」とご紹介してきましたが、ではこの冠着駅が無人駅かといえば、そうではありません。

冠着駅は筑北村が受託する簡易委託駅となっています。
簡易委託駅というのは、切符の販売等の一部の駅業務を他の事業者等に委託している駅のこと。例えば、鉄道会社社員のいない駅のそば屋さんが切符を販売している場合は、そのそば屋が駅業務の受託者、というわけですね。

ここでは筑北村の職員の方が窓口業務を行い、切符の販売をされるようです。

1日の乗降客数は100人未満だが、無人駅ではない

注目したいのが、窓口の横に書かれた文言。写真では少し見にくいので引用します。

冠着駅は、村民の皆さまの足を守り利便を図るため、乗車券等の販売を筑北村がJR東日本から委託を受けて行っています。
ご旅行時の、きっぷ・特急券や、通勤・通学等の定期券のご購入は、是非地元冠着駅をご利用頂きますようお願いいたします。

特に「地元冠着駅」というワードが強調されているあたり、冠着駅をなんとか有人駅として維持したい村の意向が強く表れています。

観光スポットとして名高い隣の姨捨駅ですら無人駅となっている昨今、税金を投入して有人駅の機能を維持するというのは並大抵のことではありませんので、そこへの理解を求めるためにも、ぜひここで切符を買ってね、ということなのだと思います。

雪深い駅のストーブはありがたい

無人駅だと思って降り立ったので、ストーブが点いているだけで最高の気持ちになりました…。

長野~松本・塩尻方面の往復には、途中下車不可の「信州往復きっぷ」を使うことが多いので途中の駅に降り立つ機会はなかなかありませんが、たまには途中駅に立ち寄ってみると新たな発見があるかもしれませんね。

(訪問日:2023年1月10日(火))

▽▽「よく通るけどあまり降りないあの駅」の過去記事はこちら▽▽

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