"なんでもない田舎の風景"って、なかなか出会えないですよね。
そんな風景を探しに、福島県昭和村へとやってきました。
昭和村があるのは福島県の南西といえばいいのでしょうか。いずれにせよ東北地方の南端の方と呼べる土地です。
村に行くバスが1日3本
今回、浅草から東武線の特急リバティで隣の南会津町にある会津田島駅へ行き、そこから昭和村行きのバスへ乗り換えました。
バスは1日3本なので、しっかり調べて行きましょう。
会津田島駅、会津川口駅からの時刻表はこちら↓
会津田島駅を出発したバスは、まだまだ雪の残る標高1000m級の山を越え、昭和村へと到着。ちなみに自分が乗った際には、乗客は自分と地元の人?が2人という状況でした。GWだけどちょっと寂しいですね。このバスに関しては、改めて後述します。
築180年の古民家で過ごす一日
山を越えてたどり着いたのが今回の宿、古民家ゲストハウスのとある宿さんです。
看板があるのでここが宿であることははっきり分かるものの、なんだか人のお家にお邪魔する感じでそわそわします(笑)
チェックインを済ませ、明るいうちに村を散歩。ちなみに、とある宿のチェックインは15時から。前述の通りバスの本数が少なく、田島経由の旅人が15時過ぎの到着になってしまうところの配慮なのでしょう。
山深い地域であることから、関東地方に近い土地でありながら4月の終わりに桜の時期を迎えます。
この日は天気も穏やかで、用水路を流れる雪解け水の音がいい雰囲気を醸し出します。
18時を過ぎると、宿では宿泊者みんなで夕食作りです。その日の状況によってメニューなどは変わってきますが、この日は満室近い宿泊ということもあり、蒸しかまどの登板です。
熱した炭で日を起こし、蒸し炊きすること約20分‥
んー美味しそう。
もちろん今は日常で使うものではありませんが、昔はこうやって手間をかけないとご飯が食べられなかったことを改めて実感。
みんなで作って囲む食卓はいいですね。
初対面でも、すぐに打ち解けられます。
こうして楽しい夜は過ぎ‥
次の日の朝も、出ていく宿泊者を残る人でお見送り。この日の青空のように、清々しい気持ちで昭和村での滞在を終えました。
"憧れ"だけでは片付けられない現状も
ここまでの文章、確かに"牧歌的な田舎感"が伝わってきたと思います。
しかし一方で、昭和村のような交通の不便な自治体は、特に難しい問題を抱えていることも無視はできません。
昭和村は、少子化による小学校の廃校が、約40年前というとても早い段階から発生していた土地です。現在は村に唯一ある小学校に約30名強、中学校は10名強、高校から先は村を出なければなりません。
↑喰丸小学校は40年ほど前に廃校に。現在は地域の交流の場やイベントスペースとして使われています。
高校へ通う場合、村外の高校へ親が送り迎えをするか、下宿をさせる必要があります。しかし、ここにもネックが。
そうです。雪です。
厳しい冬との戦い
「親が送り迎え」などと簡単に言ってしまいますが、2mの雪が積もる中で毎日運転となれば結構な負担となります。
しかも、比較的大きめな市街地である会津田島駅周辺(南会津町)へのバスは冬季運休のため、日用品以外の買い物も容易ではありません。
冬季運行への署名活動も行われていますが、前述の通り1日3本でも数名しか乗らないバスをどう維持していくかというのは、あらゆる自治体において懸案となっていることです。
何はともあれ、まずは自分の目で。
こうした状況は、今となってはあらゆるところで耳にすることだとは思います。
それでも、実際にその土地に暮らし、子供を育て、商売を切り盛りする姿を見て得られる気付きは相当なもの。
鉄道+バスで東京都心から4時間以上かかる土地ですが、逆に言えばたった4時間で"本気の田舎"に出会えるのは、昭和村くらいかもしれません。
↑ここまではっきりと圏外と言われれば、逆に潔い
これはハマる予感。また行きます。
(訪問日:2019年4月28日-29日)