2021年3月28日(日)、上田電鉄別所線がついに全線での運転を再開しました。
2019年10月の台風被害で上田~城下間の千曲川にかかる鉄橋が崩落。同区間はバスによる代行輸送が続いていました。
再開から1週間、現地の様子を見に行ってきました。昨年長野に移り住んだ自分にとっては、初めての赤い鉄橋区間の乗車です。
復旧作業中の様子(2020年11月)
昨年11月にも上田を訪れていましたので、まだ橋が繋がっていなかった当時の様子を少し振り返ります。
地域共通クーポンで別所線に課金しました pic.twitter.com/kiZCSHbf46
— むーさん/スーさん@まち歩きライター (@musan_tr_gh) 2020年11月26日
橋の崩落で寸断された上田~城下間は代行バスに乗車。そのため上田駅から乗車の場合、電車のりばで切符を購入し、ロータリーに下りてバスに乗るという、ちょっと変わった乗り方になっていました。
そのため、電車のりばの待合室にバスのりばのライブカメラがあって到着状況を確認できるというのもちょっと面白かったです。
無事の復旧を祈る千羽鶴も懐かしいね。
約1年半にわたる代行バス運行、お疲れ様でした!
赤い鉄橋がつながったよ!
というわけで今回の訪問。
別所線に乗車する前に、まずは赤い鉄橋を外から眺めます。
#おかえり別所線
— むーさん/スーさん@まち歩きライター (@musan_tr_gh) 2021年4月3日
生で見るとグッとくるね~~ pic.twitter.com/8SB5BqPLHh
ただ電車が鉄橋を走り抜けるだけなのに…動画を撮りながら目頭が熱くなりました。近頃ちょっと涙もろくなった気はするけど、まさか電車みてウルっときちゃうなんて。
安全性を考えてコンクリートの橋でガチガチに固める、という選択肢もあったと思います。それでも、赤い鉄橋自体をそのままのビジュアルで残したあたりが、この鉄橋の真髄だと思います。
この橋は赤い鉄橋であればこそ、価値がある。そういうことなのでしょう。
塩田平はいいぞ
さて、まさか橋だけ見て帰るわけにもいかないので、ここから別所線に乗ります。
先述の訪問時に別所温泉には行っていますので、今回は終点までは乗らず。
車窓から見た塩田平が本当にきれいだったので、下之郷駅で下車して中塩田駅まで1駅散歩をしてみることに。
田畑に活気がある時期ならもっと映えるのかもしれないけれど、春の塩田平散歩、最高でした。
欠かせない名物たち
上田に行ったら外せない名物たちも一緒に堪能してきましたよ。
まずは海野町商店街にある「富士アイス」。名物の志゛まん焼きは1個80円。ATMに行き忘れて所持金が100円ちょっとだった(おい)自分でも買えたよ。良かったね。
お次は「中村屋」の馬肉うどん。
写真は”セット”というメニュー名の、馬肉うどんとミニ天丼のセットです。
甘めのうどんつゆが最高…中村屋さんが家の近所になくて良かったです。これ通っちゃうもん。
別に何かが特別ではない天丼も、デフォルトで醤油をかけられているお新香も、最高です。いわゆる観光客向けのお店じゃないからこその最高ポイントがいっぱいあるのです。
地方ローカル線における”再開”の持つ意味
というわけで、別所線が全線再開した上田をがっつり楽しませていただきました。
再開日の3月28日朝、自分は現地には行けませんでしたが、「#おかえり別所線」のハッシュタグがついたツイートを見るたびに胸が熱くなりました。
再開まで1年半を要した上田~城下間。たった1本の橋の崩落ではありますが、地方の鉄道事情を見ると、災害からの復旧を果たせず消えていった路線はいくつもあります。近年では宮崎県の高千穂鉄道、岩手県のJR岩泉線などがその最たる例です。
実は上田電鉄も例外ではなく、旧・上田丸子電鉄時代に下之郷駅から分岐していた西丸子線が60年前の1961年の豪雨によるトンネル崩落が原因で休止に追い込まれ、その後廃止となっています。
シビアな話ですが、廃止の話が出たところでマニア以外には見向きもされず、あっさり消えていく路線は、特に地方では珍しくありません。私の地元に近かった某路線も、廃線に際して存続の請願のひとつもなかったと聞いたことがあります。
なぜ別所線が再開できたのか。それは地元の人々の支えに他なりません。
長野に移住するまでは縁もゆかりもありませんでしたが、長野県民としてこの瞬間を迎えられたことを誇りに思います。
これからも、別所線が地域の足として愛され続けますように。