今回は、善光寺の北側に位置する地附山(ぢづきやま)に焦点を当ててみます。
もうすぐオフシーズンになる地附山へトレッキングに。善光寺から徒歩30分でこの標高、この景色ですよ! pic.twitter.com/XqxyEIpZ4j
— むーさん/スーさん@移住&ゆる多拠点 (@musan_tr_gh) 2020年11月10日
地附山は標高733m。長野市中心部が350mなので、だいたい400mほど登っていくイメージです。トレッキングコースが整備されています。
今回は麓の善光寺から徒歩で往復してみました。
善光寺から地附山公園は徒歩約40分
登山道のスタートになる地附山公園には駐車場があるので、車があればサクッと到着できます。
徒歩なら善光寺から北参道を北上し、善光寺雲上殿を越えて40分ほどの道のり。
途中にも看板があります。
地附山公園に着く前にはすでにこの標高。横手山や白根山といった志賀高原・草津方面の山々、さらには遠くに浅間山も望む迫力のパノラマ。
頂上を目指さずとも、十分満足できるかもしれません。
地附山公園には冬季閉園がある
地附山公園の入口です。
しっかりとしたフェンスですね。
それもそのはず。地附山公園は11/24から翌年3月末にかけて冬季閉園となります。ということで今シーズンも残りわずか。
地附山の背負った過去、防災の山としての使命
地附山公園に到着。
公園の看板には「防災メモリアル」の文言があります。
ここはかつて、大規模な地滑りにより多数の犠牲者を出した土地なのです。
復旧工事に際して、その被害を後世に伝えるべく、公園のあちこちに災害当日の状況や現在の防災について伝える看板が立っています。
現在では地滑りの現場にも木々が生えていますが、復旧工事が行われた当時は、このサイトで紹介されているような痛々しい姿でした。
あの災害を忘れない|長野市地附山地すべり災害の記憶・日本綜合建設株式会社
長野市に来て約5ヶ月ですが、自分はこの地滑りのことは恥ずかしながら全く知りませんでした。
昨年の台風被害しかり、このような災害がいつまた起こるか分かりません。地附山はこれからも、自然災害の貴重な語り部として存在していくことでしょう。
登山ルートは2種類
締めのような文章になっちゃいましたが、登山はこれから。
地附山公園からの登山ルートは一本道です。
地図上オレンジのルート、一般向けのつづらトレイルです。
舗装などはされていませんが、比較的歩きやすい道が続きます。
秋ですね~(撮影日 2020年11月10日)。
土地でパワーポイントという名の、景色が開ける場所があります。
手前の木々も合わさって、とても綺麗です。欲を言えば晴天が持ってほしかった(このあたりから寒かった)。
そしてここを少し登ったあたりから、2種類ある山頂トレイルに入ります。自分は西側のルートを選択。
なぜなら‥ここは廃墟の宝庫だからです。
地附山が一大観光地だった時代
ここでもう一度、先ほどの地図を確認してみます。
山頂トレイルの西側ルート上には、「動物園跡」「観光リフト跡」「遊園地跡」「ロープウェイ山頂駅跡」「スキー場跡」とあらゆる観光施設の跡地が立ち並んでいます。
早速歩いていきましょう。
動物園跡です。
いきなりキツめの廃墟ですね。いったいどこがどう動物園だったのでしょう。そもそも何の動物がいたのだろうか。
お次は観光リフト跡。
こちらはリフトの支柱とおぼしき遺構があるのみです。ほとんど自然に還っています。
ロープウェイの駅跡です。
ここはそれなりに遺構が残っています。
もうロープウェイそのものの遺構がほとんどないため確認のしようがないですが、善光寺雲上殿の方から路線が延びてたらしいです。
(山麓側の駅は、現在雲上殿の駐車場になっている広い土地が跡なのだそうです。現在は面影が全くありません)
スキー場跡に至っては、もうどこに何があったのかさっぱり分かりません。
おそらく、こちらの方向に向けて斜面を下ってた‥はず?
善光寺ロープウェイは、1961年の開業から74年の休止(翌年廃止)までわずか13年という短命路線でした。
周辺のスキー場等のレジャー施設も、戸隠や飯綱への自動車でのアクセスが容易になったことであっという間に衰退。この時代のモータリゼーションが人々の消費行動にいかに影響を与えたかを色濃く示す場所となっています。
善光寺ロープウェイのことはこちらのサイトに詳しく書いてありました。
訪問日が2008年のようですが、現在とほとんど状況は変わっていないようです。
https://www.8beat.com/ropeway/zenkoji.htm
栄枯盛衰を感じさせる遺構の数々に心がセンチメンタルになりながらも、山頂に到着。
誰もいない平日昼間の山頂は、ちょっと寂しかったです。。
あいにく小雨が降ってきてしまったので、早足で撤収。
ぜひ触れたい、地附山の歴史
地附山は、善光寺からの徒歩を含めても3時間弱で山頂まで往復できる、気軽に行ける山です。一方でこのように「観光地の栄枯盛衰」「悲しい災害の記憶」という要素にクローズアップしていくと、途端に見所の多い山となります。
今シーズンは残りわずかとなりましたが、小さな山の深い歴史に、思いを馳せてみるのも良いのではないでしょうか。
追伸)
地附山は標高としてはあまり高くない山ですが、今年は長野市内でクマの目撃情報が多く寄せられたこともあり、トレッキングコースを歩かれる方はほとんど鈴持参で来ていました。
また、下山時に健脚向けコースの跳駒トレイルを使いましたが、狭いし結構急な坂です。終始へっぴり腰で下山する羽目になったので、おすすめしません。。